IDEMITSU IHATOVE TRIAL

イーハトーブトライアルって?

トライアルって?

 イーハトーブトライアルが始まったのは1977年です。きっかけは大会創始者の万澤安央氏と成田省造氏が1973年に、英連邦スコットランドで開催される世界最大規模の「スコティッシュ6日間トライアル=SSDT」に参加し、その魅力に触発され、自然環境が良く似た岩手で開催を始めたのです。
 バイクが誕生した直後の1900年ごろにはもう始まっていたと言われるトライアル(trial)は、英語の意味どおり「試す=腕試し」です。(第1回SSDTは1909年開催)

岩や斜面など、走りにくい自然の地形を、足を着いたり止まったりしないようにうまくバイクを操って走る競技で、セクションと呼ばれる区間では、走る人が足を着いたり止まったりするごとにオブザーバー(採点者)により加点されます。選手権トライアルなどではセクションごとにオブザーバーがいるのですが、出光イーハトーブトライアルの場合は創始以来、ゴルフと同じように参加者同士がお互いに採点者を兼ねる相互採点方式を基本にしています。これは参加者全員がルールを熟知し、正しく採点していることを前提として成り立つ方法ですから、ルールに対してフェアなスポーツマン精神こそが出光イーハトーブトライアルをより面白くするのです。

イーハトーブって?

 岩手が生んだ偉人・宮沢賢治の造語。賢治はイーハトーブを「自身(賢治)の心象中に、このような情景をもつて実在したドリームランドとしての日本岩手県である」と説明。大会創始者の万澤氏と成田氏が「日本のSSDT開催の舞台」を探して訪れた岩手県に、自分たちの理想の情景を発見し、大会名とした。大会名とするにあたり、宮沢賢治の実弟、故・宮沢清六氏が「イーハトーブ」の使用を承諾。

 以下、大会開催20年を記念して1996年に刊行された「イーハトーブの森を駆けて」の冒頭より一部抜粋。
「20年前に深い考えもなく岩手に行ったら、まさに自分たちが夢に描いていた素晴らしい自然と穏やかな人々という環境があったわけだし、関係する人々がすべてにわたって協力的だったからこそ、ここまでうまくやってこられたのだ。(中略)岩手県が四国4県に匹敵する大きな場所で、しかも宮沢賢治という稀有の表現者を輩出した霊性の高い土地だったことも、まさに最高の巡り合わせとしかいいようがない。」

(大会創始者 万澤安央氏)

トライアルはバイクのゴルフ

 トライアルは、いわばバイクで行うゴルフのような競技です。ゴルフは打つ回数が少ないほどうまいわけですが、トライアルでは足つきや停止の回数が少ないほどうまいわけです。
 トライアルのような点数競技は、速さや時間を競うことが多いバイク競技の中では変り種といえるでしょう。しかしトライアル発祥の地が、ゴルフと同じスコットランドと聞けば皆さんも納得でしょう?

 トライアルでやっていることは、わざわざ難しい自然の地形や、池、砂地など障害物のある場所でボールを打つゴルフと良く似ています。ゴルフではボールがどのように転がるかを読むためにじっくり下見をしますが、トライアルでも走る前に自分のラインをきちんと下見するのが基本です。この読みの段階からうまい人、下手な人の差が現れます。また、同点で競いあう相手がいる場合には、技術が同レベルであっても精神的に動揺したほうが負けるなど、精神的な強さがものを言う点もゴルフとそっくりです。
 ちなみに、英国ではトライアルの優勝者はベストパフォーマンスといい、2位の人はラナーアップと呼ぶのですが、他の国々でもトライアルが盛んになったいまではふつうに1位、2位というようになりました。

危険性が低いから続けられる

 モータースポーツとしてのトライアルには、他にはない利点があります。それは絶対スピードが低いことと、競技はセクション内を一人づつ走る形式のため、大怪我や大事故の危険性が低いことです。実際、SSDTでも1973年まではプロのライダーでさえヘルメットをかぶらず、ハンチングやニットキャップで走っていたほどです。(74年から着用義務化)
 危険性が低いことは、家庭、社会の理解が得やすいことにもつながりますし、自分に合ったレベルで乗れば、年齢が高くなっても続けられる点が大きな魅力です。逆に言えば、いつまでも乗り続けるために健康状態や生活習慣などにも注意することになり、健康に良い生涯スポーツととらえると、ますますトライアルの素晴らしさがわかるでしょう。

スポーツとしてのトライアルを楽しみたいライダーたちのために、出光イーハトーブトライアルでは、まさにハンチングで走っていた英国トライアルのセクションレベルを維持したまま30年間開催してきましたが、その理由はトライアルならではの魅力である危険性の低さを失わないためでした。あとで述べるノーストップルールも同じ考え方から採用しています。
 いつまでも楽しく続けられること、それが何よりも大切なことだという考え方は、これから先の出光イーハトーブトライアルでも変わりません。出光イーハトーブトライアルでは、2006年の第30回大会から、親、子、孫の3世代で参加…を理想にかかげています。まずは自分自身が楽しく乗り続けることから始めましょう!

観客とも気持ちが通うスポーツ

 もともとトライアルは、至近距離で見られるモータースポーツです。実際、英国のトライアルでは両側に列をなす観客の間を走るかのようなセクションもしばしばあり、ライダーと観客はとても良い関係にあります。そしてライダーが見事なパフォーマンスを見せると大きな拍手で健闘をたたえ、ライダーも出口で手を上げたりして応えます。このちょっとしたやりとりもトライアルの楽しみであり、ゴルフとも似ています。
 出光イーハトーブトライアルの場合は、ライダーと観客の交流は本家の英国以上に良好な関係にあります。地元の方々も毎年夏の終わりにやってくるライダーたちを楽しみに待っていて、中には子供たちとともにわざわざ歓迎の準備を整えている方々もいます。市町村の歓迎も恒例化していて、飲食物をふるまって歓迎してくれるところも少なくありません。ライダーたちは、子供たちにステッカーを渡したり、サインしたりと感謝の気持ちをお返しすることで毎年良い雰囲気が高まっています。この根底には創始以来30年間無事故を続けてきた実績によって、地元の方々の信頼を得ていることもあります。

 このように、ライダーと観客の気持ちが直接通いあう光景は、数あるモータースポーツの中でもトライアルだけの魅力ですが、私たちライダーは地元の方々に対し「お庭を走らせてもらってありがとう!」の気持ちを笑顔で伝えてゆきましょう。

移動

PAGE
TOP