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イーハトーブ新聞

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イーハトーブ新聞 2010 vol. 3

出光イーハトーブトライアル大会通信
今回も「笑顔で帰宅」するトライアル、目標達成。戻る

 おかげさまで、今回も無事終了しました。参加者のみなさま、あらためておつかれさまでした。また冠協賛の出光興産をはじめ、協賛各社のみなさま、地元のみなさま、ありがとうございました。
 今年の大会は好天に恵まれたこともあり、景色も良く、楽しい雰囲気に包まれたトライアルでした。大会全体として事故や大怪我もなく、無事に終了し、「笑顔で帰宅」の目標どおりでした。
 ネリ・ブドリ、クラシック、ヒームカ、観戦トレイルツアー、トライアル匠塾ともに、岩手の美しい景色を楽しみながら順調に進行、無事終了しました。
 また親子バイク教室でも定員いっぱいの参加者が楽しい思い出づくりができました。
 ネリ・ブドリのコース設定では、七時雨山荘立ち寄りを復活させ、なおかつ6時過ぎに終了したので、全体的にうまくいったと思います。
 クラシックも2日間で50セクションあったのを、レベルを下げずに40セクションに減らし、一日目は5時過ぎに羅賀荘にゴール、二日目も6時すぎに全員が七時雨山荘にゴールできたので、進行の速さ実現する狙いは大成功だったと思います。
 これによって、帰宅の途につく時刻も早まり、参加者にとってもスムーズな進行は利点が多かったとともに、実行団としてもリザルト集計の迅速化や、後片付け開始が早まり、打ち上げも早まって団員たちの疲労も軽減されて良いこと尽くめでした。
 …というわけで、参加者、実行団、それに事務局も含め、全員が「笑顔で帰宅」を実現した大会だったことを報告しておきます。

昨年は1点差、今年は同点の年齢差で三塚選手が二連覇!戻る

 この数年レベルの高いトップ争いが繰り広げられているクラシッククラスですが、今回のクラシックでも、昨年の優勝者、三塚政幸選手と、昨年惜しくも1点差で2位の成田亮選手とのトップ争いが最後までくり広げられ、最終セクションで意外な結末をみるという劇的な内容でした。
 1日目はオールクリーン、2日目も順調にクリーンを続けていた成田選手がはじめて1点を取ったのは、よもぎ平の2番目、「樺林ロックセクション」出口付近でした。
 ちなみにこの時点で同じチームのライバル、三塚選手は1日目に取った3点があるので、まだ成田選手が2点リードでした。
 その後も二人は平庭、さんだいなべ、そして難関の上家山でもクリーンをかさね、最後から二つ目、七時雨山荘の第19セクションでもクリーン。これで成田選手の優勝はほぼ間違いないものと思われました。
 ちょうどそこに居合わせた成田省造副会長に「どうやら亮くんが優勝みたいだね」と私が声をかけると「うーん、まだもうひとつあるから…」「たしかに。終わってみるまでわからないからね」と交わした言葉どおりの展開となってしまうとは…!
 観衆の見守る中、慎重に下見をしたあと走り出した成田選手が、濡れた丸太に差し掛かったときリアがスリップ、思わず足をついて立て直したかに見えた直後、さらに痛恨の足着き!観客がどよめきました。ここで2点を取ったことで、二人のスコアはクリーン数も1点の数も、2点の数もまったく同じ3点ずつで並んだのです。
 そして三塚選手が見事にクリーンし、喝采を浴びました。
 その結果、イーハトーブトライアルの規則によって、年齢が上の人が優勝という、めったにないかたちで、またもや三塚選手が優勝となりました。
 三塚選手は一昨年、二日目にマシントラブルでリタイヤし、その雪辱を昨年果たして優勝、そして今回、2連勝の快挙を達成しました。おめでとう!
 それにしても成田選手は昨年1点差に泣き、なんと今回は同点で年齢差に泣く(実際は笑っていましたが)という、なんとも悔しいかたちなので、来年こそは優勝して笑顔で帰宅してもらいたいものです。いずれにしても、この二人のおかげで、またまたハイレベルが保たれた今回のクラシックでした。じつは来年、ここに強敵が加わりそうなので、ますます目が離せませんよ!

トライアルマスター、二年目の活躍戻る

 トライアル大会に参加するための基本的な「所作」「作法」を、あらためて参加者の皆さんに周知・徹底して、本来のイーハトーブトライアルの姿に戻したい…。そんな役割を実践するための「トライアルマスター」が二年目の活躍をしてくれたおかげで、今回のネリ・ブドリではさらに改善された点が多く見受けられたようです。
 ただ、「トライアルマスター」たちの話を聞くと、コースの走り方がわかっていない人が多いのがこのクラスの特徴かもしれません。オフロードを走るペースは人によってかなり違いますので、「追いつかれたら道をゆずる」ということを覚えてください。これはモータースポーツなのですから。
 とくにせまい山道で遅い人がそのまま走り続けると、後ろに長い列ができてしまいます。でも、遅い人にかぎって山道で後ろを振り返る余裕がないんですね、困ったことに…。また、追いついたライダーが黙って遅い人のあとをついて走ると渋滞の列がどんどん長くなってしまいます。
 そういうときはSSDTのように、追いついた人がクラクションを鳴らすとか、高い裏声で「ホー!」と声をかけて、遅い人に道をあけさせて追い越しましょう。もちろん、それができる地形、状況のときに…というのは言うまでもありません。
 来年は気分一新のため、クラシック・ヒームカにトライアルマスターが乗り込みます。私、萬爺や成田副会長が伝えようとしている「イーハトーブのトライアル精神」を全員がマスターする日まで、トライアルマスターの活躍はしばらく続きますので、みなさんよろしく。

オートキャンプ・駐車場利用の皆さんのマナーに感心!戻る

 昨年「ザイラースキーセンター」の駐車場をはじめてお借りしましたが、利用者の皆さんがたいへんきれいに使われたことに、会社の担当者が感心しておりました。
 本来、安比スキー場エリアには宿泊施設が集合しているためキャンプ施設は無く、駐車場および敷地内での車中泊もお断りしているのですが、今回も昨年の実績が評価され、再びザイラー駐車場利用を認めてもらったわけです。
 またETC利用により土曜朝早くに到着する選手のために、旧JAさん施設の駐車場も臨時でお借りしましたが、こちらも終了後はゴミひとつない状態でした。
 いずれにしろ、昨年の利用者のマナーの良さが今回の使用許可のもととなったことは間違いありません。
 そして、今回もまたザイラー駐車場でオートキャンプをされていた皆様に最高の感謝の言葉を述べたいと思います。
 団員がトイレ掃除にいったときには、すでに利用者の皆さんの手によって掃除が完了していたとのこと!C団員は嬉しくて涙が出そうだったと言っておりました。
 イーハトーブは、こうした主催者と同じ意識の参加者の皆さんによって支えられ、実行団員も勇気付けられております。それを体現していただいた皆様、本当にありがとうございました。

意識が近い人だけに参加してほしい戻る

 なにかを成し遂げようというとき、目指すものがハッキリ意識できている人たちの集まりだと、とてもうまくいきますし、困った問題が起きることもありません。
 そういう意味で「出光イーハトーブトライアル」はかなりうまくいっている大会だと思います。が、ごく一部の「ずれた意識の人々」の存在が萬爺は気になっています。
 今年のイーハトーブトライアル公式ウェブサイトのトライアル掲示板に、実行団の準備作業のほとんどを写真つきでアップしたのを見てくれた人も多かったと思います。その効果があって「準備、大変なんですね」と声をかけてくれた人も何人かいて「ああ、わかってくれたね」と実行団員たちは喜んでいました。
 萬爺としては「エントリー代が高い」とか、「コースが長くて疲れる」とか、はては「俺、この丸太セクションで怪我したんだよね。だからもう作らないでほしい」(すべて実話です!)などと勝手なことを言ってる一部の参加者に、実行団員たちがどれほどの時間と情熱、労力、費用をつぎ込んで、大会当日を迎えているのかを知らせたかったのです。
 大会の準備の苦労や、地元の方々のご協力で成り立っているこの大会の構造を理解して、「そうか、俺もちゃんと協力しよう」と思ってくれるライダーだけに参加して欲しいと思っています。(思わない人は来ないでほしい)
 そういう意味で、今後も大会準備の様子はできるだけ掲示板で伝えてゆくつもりです。

すべての規則は大会存続のためにある戻る

 なんでも規則というのは、萬爺の本意ではありませんが、いくら言ってもわからない人のためにしかたなく規則ができる…という側面を規則はもっています。
 だからこそ、規則書にはきちんと目をとおしてもらいたいのですが、現実は読んでもらいたい人ほど読んでない…らしいのです。
 今回、初参加らしいライダーから「会長、イーハトーブでは止まったら0点ですよね?」聞かれたときは耳を疑いました。トライアルの基本ルールすら知らないでクラシックに参加しているとは…! そもそも大会中に質問するような事柄ではありません。
 「イーハトーブトライアルはライダーにとってのドリームランド」であり、それを維持することが、何よりも重要なのです。なぜなら長い年月と多くの人々の努力、協力で実現したドリームランドだからです。
 だから規則書にもそう書いてありますが、この大会の存続に協力しようという気持ちがあるライダーだけに参加してもらいたいと、私、萬爺はつねづね思っています。
 協力というのは、直接大会に手を貸してくれることだけでなく、ライダーの場合は自分の力で走りきれる自立したライダーになって参加することを意味します。これはすべての準備、装備、技術、体力、気力など、「トライアルライダーとして自分のことは自分でやる」という基本的なことがらを指します。
 「行けばなんとかなるだろう」と、初めから誰かの助けをあてにしてくるようなライダーは、長丁場のイーハトーブトライアルにはふさわしくありませんし、とくに中級者向け二日間のクラシックへの参加は、周囲が迷惑しますので固くお断りです。
 いまのところ、そういう人はごく少数ですが、かりに自立していないライダーばっかりになったらこの大会の存続は不可能になります。そういう意味で「自分はこの大会の存続に協力できているだろうか…?」と、一人ひとりが自問自答してほしいと思います。

諸君、事前のスクールに参加すべし!戻る

 トライアルを取り巻く環境は、とくに都市部ではきびしいものがあります。
 そもそもトライアルバイクを扱うショップも減ってしまい、ライディングをする場所も非常に遠くなっているのが現状です。
 でも、トライアルの大会に出る以上は準備も含めて練習が不可欠です。
 「大会にエントリーして、行けばなんとかなるだろう」と思っている人、とくに初心者は考えをあらためて、事前のスクールに参加してください。自己流よりずっと得るものが多いですよ。それに十分な準備でのぞめば大会の楽しさも倍増です。
 6月の「菅生プレ・イーハトーブトライアル」や、「朝霧高原イーハトーブの森」をはじめ、いろんなスクールやライディングパークがあることはトライアル雑誌のサイトを検索するだけでわかります。
 いずれにしろ、初心者がイーハトーブトライアルに「ぶっつけ本番」することは、いろんなかたちで周りに迷惑をかけ、自分も大変な思いをすることになるので、それだけはやめましょう!

T団員からの「ネリ・ブドリ」を見た感想その1戻る

 役務としての「第1セクション」での所作指導と中間で走った感想を記します。
 今年で2回目の「全選手」に挨拶と、

  • ① セクション下見は身軽にする為リュックはセクションアウトの近傍に置きましょう。
  • ② ライン読みはセクション脇から見ても意味が有りません、トライ中のマシンに着いて行く気持ちでセクションに入って見てください。
  • ③ 下見が終わったら直ぐに相互採点のオブザーバーを決めて配置し、他のメンバーはトライ準備です。
  • ④ 先行でトライの終わった選手は直ちにオブザーバー交代をし、自分達のグループが迅速にトライ完了し次のセクションに移動出きる様に準備してください。と、270名余りに声掛けました。

 昨年に比べ、「相互採点」が更に浸透したようで、約3組程、全員が並んでトライ待ちしオブザーバーが居なかったのを指摘し、所定位置に立たせたのが実績です。
 オブザーバーが動画カメラマンを兼務する光景が多くなって来た様に思えます。
 撮影に夢中でオブザベーション、特に手が上がって居ないのが目立ち始めました。「シッカリ手を上げてオブザーバーしてください」と声を掛けたケースが有るので、小生の声が入ってしまって居ますね。恐縮です。
 第1セクションは始まりの場、浮き足立って居る選手の「気持ち作りのセクション」として今後も90分声を掛け続ける事は必要かと考えます。

萬爺注釈:うーん、ビデオと採点を兼ねるのは無理ですから禁止しましょう。

 採点はいつの場合も真剣に集中して行うべきものですから。

T団員からの「ネリ・ブドリ」を見た感想その2戻る

 午前の終わりに「七時雨」で恐れ多くも「家村団長殿」に、工具貸して下さい、と述べる選手がいました。たまたま居合わせたので「3人共持って居ないの?」と聞き返し、マシンの側に行きメンバーに「3人分の持参工具を全部ここに出し、それでも不足が有ったら借りて良いことにしましょう」としたら、ごそごそ色んな物が出て来て作業出来ました。
 この間「団長殿」はご自身のトラックに行き、工具箱開けて居ましたが、経緯説明し、中断願いました。
 この件は、事前に整備して来れば支障無い内容でしたので、昨日まで練習で乗って居た物をそのまま持参するナゾ、とんでもない、と言いたいですね。整備の行き届いたマシンで出場頂きたい。以上です。

萬爺注釈:要は「大会に出る」ことをなめてかからないように、ということですね。まったく、そのとおりです。ネリでもクラシックでも、上手、下手とは別のところで真剣身が足りない人が多いです。

クラシックにふさわしくない人々戻る

 昨年、あれほど「自分に合ったクラスに出るように」「はじめから他人をあてにして甘えないように」と、イーハトーブ新聞第3号で書いておいたにもかかわらず、また今回もクラシックにはどう見てもふさわしくないレベルの人々を見かけました。
 いうまでもなく、クラシックは中級者向けのクラスですから、セクションもコースも初心者のレベルは考えていません。しかも二日間で350キロ、それもかなりの長さにわたって油断できない山道コースがあって、そこで何かトラブルがあれば救出が非常に困難なことはご承知のとおりです。
 当然のことながらクラシックを完走するにはそれなりの準備、体力、技術、気力、その他いろいろな経験が必要になるわけです。
 ところが、何を勘違いしたのか、あるいは勘違いを後押しする人が周りにいるからなのか、どう見てもクラシックを楽しむどころか、完走もおぼつかない人々が参加するのはじつに困ったものです。
 そういう人々は再三言っても理解できないようなので、今回のスコアを元に次回以降、クラシックの参加受付を拒否する方向で検討しています。
 たとえば2日間の合計がすべて5点なら200点になりますから、150点以上取ったライダーは参加資格を失うとか、あるいは大会当日ランチまでの12セクションの合計が48点以上のライダーは、そこから先クラシックからはずれてもらい、トレイルツアーに組み入れるとかの強制手段を使わざるを得ません。いまから検討して、決定した内容は来年のイーハトーブ新聞で発表します。
 そうなると、ますますクラシックの参加者が減るでしょうが、それもやむを得ません。「危ない人々、困った人」々を放置してもっと困ったことになるよりはずっといいですし、そもそも大多数のクラシック参加者レベルには関係のない「足切り」ですから、一定のレベルを維持して大会を円滑に進行するためには必要な措置だと考えています。
 草トライアルと世界選手権のレベルが違うように、初級者向けと、中級者向けを分けているのはそれ相応の意味があるのですから、レベルに達していない人がクラシックに無謀な挑戦をするより、初級者向けヒームカで余裕をもって楽しんでほしいと思います。
 また、クラシック経験者は、クラシックにふさわしくないことが明らかな人を誘って参加させるようなことは決してしないようにして下さい。
 以上、大会存続のためにご理解、ご協力をお願いします。

編 集 後 記戻る

 今回も「注文の多いトライアル」にふさわしい内容となりましたが、すべては大会存続のための注文です。「単なる参加者ではなく、大会存続に協力する立場で参加すること」と規則書にあるとおり、一人ひとりの自覚こそが重要なのです。
 幸運にも私たちは対外的な事故が一件もなく34回目を終えることができましたが、ごく一部の無謀なライダーが34年間無事故の実績を一瞬で壊してしまうこと、それによって大会の継続に大きな支障が出ることを恐れます。
 じつは今回、クラシックでそういう状況があったので、警告の意味できついことを書きました。当事者には胸に手をあてて反省してもらいたいです。(萬爺)

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